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医療小説「院長選挙」

本の販売数量から、日本人の読書離れを嘆くのなら、まずは、本の価格を下げてほしいと切に思う。

ハードカバーと文庫本という変な棲み分けを作らず、再販制度という価格統制もやめ、量の出る(大きな利益が見込める)人気の新作を800円程度で販売すれば市場は大きく広がるだろうし、それが印刷・販売コストの圧倒的に低い電子書籍で実施すれば新たな市場が開けるだろう。

そうすれば、本来、一般家庭で購入できない高額な専門書等に取り扱いを限るべき公立図書館が、ベストセラーのハードカバー小説を置くことを拒否できようし、その役割が明確化されたら、市民のニーズという体のいい言葉で悪用し、税金で週刊誌を揃えるようなおかしな運用も見直されるようになるだろう。


なぜ、相変わらず1冊1700円もするのだと思いつつ、文庫化される数年後ではなく、知識としても今押さえておきたいからと、大学病院を舞台とした現役医師による医療小説「院長選挙」を入手する。


コミックにはレンタルといういい制度があり、先日、評判に聞く「いぬやしき」を読んだのだけど、その中で唯一違和感を覚えるのが、機械の体となり、病人を治す能力を持った主人公が病院の重病患者を治癒し、それに感謝する病院関係者の姿。

2018年の医療と介護の診療報酬の同時改定が大詰めを迎え、診療報酬の引き上げ・引き下げのそれぞれの思惑により、政治、行政(財務省、厚生労働省、各諮問機関)、関係団体(日本医師会)を巻き込んだ駆け引きが繰り広げられているところだけど、医療提供側から報酬引き上げの根拠として示した「病院経営の悪化」の調査結果が示すように、ここ数年の、今後の高齢化の進行を見据えた医療体制の見直しや医療費抑制に向けた制度改正が、医療現場を疲弊化させている現状は否定できない事実。

ただ、その報酬引き上げの根拠を、リーマンショック後に経済が冷え込み、給与や人員削減等のリストラで民間企業が乗り切る中、族議員、医師会の圧力で優遇され続けてきた医師の技術料(給与)という事実に触れず、ここ数年だけを比較し、企業の賃金引上げ率と同水準を求めるから、誰からも共感が得られていないのだけど。

医師の給与が高い弊害が、昨今は明確に指摘されだしており、本来、世界を相手に活躍すべき最も優秀な部類に入る人材が、安易に医師を目指すことで国力低下につながる現実。その医療業界の現状は、徹底して競争が排除され、保険制度の下、有資格者皆が保護される仕組みは、現世代が負担すべきコストを将来世代に回しているだけの、社会的損失以外の何ものでもないだろう。

残念ながら、病院経営の悪化の要因が、医師等の人件費の増加と分析されているのだから、当事者は未だ目を背けているのだけど、ようやく根本の見直しが行われる環境が整いつつあると言えるだろう。


さて、話がずれたけど、重症患者を治癒して喜ぶ病院経営者などいるはずがなく、病院の利益の源泉は、病床の利用率にあるのだから、連携する診療所や系列の中小病院など、限られた医療機関から紹介された顧客(入院患者)が、医療の提供無しに突然治癒し次々に退院したなら、ベッドは空き、高額な医療設備は使用されず、医師は診療・手術機会を失い、この病院は確実に経営が悪化すると思わざるを得ない。

医は算術などという皮肉ではなく、病院も診療所も経営以外の何ものでもなく、民間企業に言う儲けの仕組みは、より高い診療報酬の対象となる医療を、より多くの患者に提供(売上高=単価×客数)するしかないのだから、経営が悪化しても人件費を削減しないという点も含め、医療提供体制や診療報酬等の仕組みを抜本的に見直さない限り、この現状は変わらないということを、このストーリを見てあらためて思ったもので。


思えば、いぬやしきの話も余談で、今回入手の本の舞台となる、大学医学部の権力闘争の裏側を見れたならば、医療の現状を楽しく理解できると期待する。冒頭を立ち読みし、「医療界では循環器内科こそが頂点」なんて内容を読んだだけで、わくわくしてくるわけで。

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